激流中国「上海から先生がやってきた〜貧困の村で〜」

経済成長のかげで、およそ6000万人の貧困人口を抱える中国農村部。貧しさの原因とは何なのか。彼らを救う手だてはあるのか。貧困地区を助けようと都会からやってきた若者たちの苦闘と農村の現実を半年間にわたって取材した。


これまでに10万人が参加したという都会の若者が貧困を助ける支援プロジェクト。今年、黄土高原の最貧困地域、寧夏回族自治区西吉県に13人の若者が派遣された。メンバーの一人、上海の名門、復旦大学に通う梁佩思(りょうはいし)さん(22)は、外資系企業からの就職の誘いを断り、貧しい農村の高校で一年間のボランティア教師となることを決意した。


しかし、苦労知らずの都会暮らしの梁さんを、想像を絶する日々が待ち受けていた。零下15度に冷え込む厳しい自然。具のない饅頭だけが、毎朝毎晩続く食事。あたりには故郷を捨てて移住した農家の跡が点在していた。
それでも子どもたちは、貧しさから抜け出すために、一心不乱に進学を目指す。梁さんは、生徒たちの家に通い、親身になって相談に乗り始めた。しかし、親の病気を治すにも借金が必要で、返済のために子どもは進学の道を断たれる悪循環。非情な経済の論理が急速に農村を蝕んでいる実態に、途方に暮れるばかりだった。 


若者たちの悪戦苦闘を通して、貧困の現実と彼女たちの心の葛藤を大自然をバックに描き出していく。

梁さんは、エリートの家庭に育った大学院生。
御馳走が並ぶ食卓、楽しいショッピング、ホームビデオで撮影・・・。
両親は、このボランティアの経験を今後の人生に活かすのだよ、と送り出す。


大きなホールで壮行会が行われ、大学生たちは各地に派遣される。


寝台列車で仲間とわいわい出発する。


2昼夜で、到着。


いい学舎ね、と話す彼女ら。


寄宿舎。
ずらりと並ぶ2段ベッドに6人ずつ。
荷物入れには、大きなパンみたいな“モーモー”が。
「モーモー?」と訊く梁さん。
これは、何か穀物を粉にして焼いたような物で、このたった一個が一週間の食糧すべてだと言う。
「おかずか何か無いの?」梁さんも絶句。
皆、当たり前のように、これだけ、と言ってる。
少ししか出ない水道からの水を取り合う学生ら。
全校生徒1200人(だったと思う)。
高校3年生の英語の授業を受け持つ。
普段、独学に近いのだろう、なかなか声を出そうとしない生徒たち。


どの生徒も、朝早く、夜の明けない内から教室の明かりを頼りに外に立って、ひたすら勉強する。
とにかく教科書を読み、暗記する。


この村は元々自給自足の生活だった。
土地は痩せ、冬は零下15度。
自給自足とは言っても、何とか生き延びるのにやっとだったのでは?
今は、小学校へは何とか通えるようになったが、中学進学、畑の肥料にもお金がいる。
現金収入が無いのに、経済社会に飲み込まれてしまった。
どの家も銀行から借金をする。
その利息が払えない。


たった一つの頼みは、子供の大学進学、就職。


お昼休み、皆が自習する時間に家へ家事をしに帰る子がいる。
梁さんが家庭訪問する。
母が松葉杖を突いている。
治療代と学費で借金がある。
父は亡くなった。
弟が一家を支えて畑仕事をするが、現金収入がない。
梁さんが銀行に現状を言って返済猶予を求めるが、期限までに返さないと訴訟すると言われる。
弟は、母を親戚に預け、畑を人に貸し、出稼ぎに出ることに。
しかし街には、出稼ぎ者が溢れ、仕事は取り合いで、回って来そうになく・・・。


香港の民間団体からの奨学金が届く。
これを受け取る5名の優秀者を選ぶのも、彼女らの仕事。
梁さんは、この子を一所懸命推薦するが、生活が苦しいのはどこも同じ、やはり成績順にと言う事で、選ばれなかった。


農村の進学熱の高さと理由が分かったが、あまりにもそれが報われていない。
都会の大学生の奉仕、香港の有志の寄付だけで切り抜けることができるのだろうか。
これは苦肉の策なのだろうが・・・。
貧困県は全国に300県あると言っていた。


今、日本は中国から大量の輸入をしている。
もちろん、農作物も。
対外収入はかなりの物なのでは、と思うのだが・・・。
少し前の「密着 共産党地方幹部」では、外国資本を入れ上手く行き、住民がプールのある大邸宅に住むようになった地方と、国営企業が多く、倒産、失業者に溢れる地方の2か所を取材していた。
こういう番組取材を受け入れること自体、中国は今、何とか現状を打破して行こうとしている現われでは?とは思う。
かつては、何でも極秘だったのだから、それに比べれば。
前者の地方の幹部は、マルクス資本論をバイブルにしてきた、というのでびっくり。
中国は、本当に今、激流の中にある!


例の農薬混入も、その歪みか?
認めないみたいだけど。


梁さんの表情が、半年でどんどん変わって行った。
これから、彼女らはどんな活動をして行くのだろう。
キャサリンさんのブログエジプトで胸を痛めたこと | 国際オトコ事情☆大陸爆走記でも話題になっているが、私も、まずは、“知ること”“知らせること”が大切だと思う。